HiroshimaUniv.
Graduate School of
Biomedical Sciences Department of
Ophthalmology and Visual Science
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PDT 新規ポルフィリン誘導体を用いた光線力学療法による角膜感染症の新規治療法の開発

光線力学療法(photodynamic therapy: PDT)は,癌の治療に臨床応用されその有効性が知られています。一方で,眼科領域においては加齢黄斑変性などの網膜に新生血管が生じることにより視機能の低下をもたらす疾患に対して既に行われており,新生血管の退縮に効果を発揮しています。PDTは,光感受性物質が癌細胞などの異常な細胞や新生血管にのみ集まることを利用して,集積した光感受性物質にレーザー光などをあてることにより活性酸素の産生を促し癌細胞や新生血管を破壊,退縮させることができるという作用を利用したものです。

われわれは,新しく合成された光感受性物質であるポルフィリン誘導体のひとつであるTONS504と新たに開発された660nmの波長を有するLEDを光源とする光照射装置を用いて角膜感染症の原因となる病原体である各種細菌や真菌あるいはウイルスに対して,その有効性を研究しています。

現在,試験管内では各種病原体に対する有効性が確認されており,今後動物実験によりその有効性を確認して臨床応用につなげたいと思っています。この治療法が確立すると,現在治療に難渋している一般の抗微生物薬に抵抗する耐性菌や複数の病原微生物が感染している混合感染の症例に対する新たな治療法になりうると考えています。治療時間の短縮や医療費の削減にも寄与するものと期待しています。